2014.05.23 Fri – 07.06 Sun

アントワーヌ・ダガタ 「抗体」

Antoine d’Agata Anticorps

2014.05.23 Fri – 07.06 Sun 
Wed – Sat 14:00 – 21:00
Sun & Mon 11:00 – 18:00
closed on Tue 
¥ 500(includes a drink)/19:00以降は ¥1,500(includes a drink)

ざわざわした気持ちになってほしい

彼の写真を最初に見たとき、この尋常でない力はただの「うまくできた」、でも「かっこいい」、でもない。はらわたから出てきたものだ、と直感した。なぜこんなにきつい画像ばかりが、と疑問に思う。リストカットされた手首、ドラッグで痩せ衰えた娼婦、リビア内戦、死体、独房、見るに耐えないものばかり。しかしそれが彼の生きている現実だ。と知って驚いた。ゆえに惹きつけられるのか? 究極の疎外に生きる人々は独りで生き延びる策を日々学ばないといけない。それが暴力でも、薬でも、売春でも、とにかく生きるということはそういうことだ。誰の助けも絶対こない、闇に追いつめられた彼らの命が光る。ファインダーのこちら側には、彼らと共に生き、絶望するダガタがいる。時にはカメラを相手に渡し、彼が被写体になる。

おまえは私で私はおまえ。あの時私とおまえが確かにそこにいた。
彼にとって写真というのはそういうことだ。

彼自身、フレンチコネクションの時代のマルセイユで少年時代にドラッグにはまり、極左政治組織に入りテロリストとして活動した過去がある。彼もドラッグで何度も死にそうになった。その度にカメラが彼を世界に戻してくれた。写真は彼にとって作品でも商品でもない。地獄に垂らされた唯一の命綱である。それでも生きている自分の命の証明であり、繁栄の陰には阻害された人々がいる、という自明の理の報告である。彼の世界は確かに特異。世界でも日本の写真家にもないものだ。マグナムに所属しながら彼はマグナム的な写真の世界に疑問をぶつけている。その礫は私たちにも投げられている。ぜひ見に来てショックを受けてほしい。ざわざわした気持ちになってほしい。彼の写真を見た後、人は何もなかったかのように生きていくことはできない。

彼はカメラがなければ死ぬだろう。そんな、緊急の表現は、言わばカメラのアールブリュット。
私たちの平和に伸びきった横面を張り倒す。

夜19時半から、ダガタが撮影した日本人女性7人のポートレート「AKA ANA」を上映する。彼女たちの言葉は時に哲学的で深い。ここでしか見られないのでお見逃しなく。会期中、ダガタは日本に滞在してトークショーなどを行うので、ぜひ彼の言葉も聞いてほしい。

アツコバルーは3.11後の社会を生き抜くためにはアートが必要だ。と信じて2013年に開かれた。アントワーヌ・ダガタほどこの場所にあったアーチストはいない。と思う。彼は飾りもなく、前触れもなく、ただ濃密な生と死を掴みとって、ほれよ!と我々の顔に投げつける。これは冷たく君臨する社会秩序に対するテロ行為だ。

(2014年3月 アツコ・バルー)

主催 アツコバルー arts drinks talk
協力 (株)赤々舍 マグナム・フォト東京支社 (株)堀内カラー (株)フレームマン
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本


■ 写真集『Anticorps 抗体』完全日本語版発売
1990年から2012年までの作品を集大成し、ダガタの書き下ろしテキストを33ページにわたり鏤めた珠玉の写真集。2013年アルル国際写真フェスティバルにおいてブックアワードを受賞。
195×260㎜/上製/560ページ
定価:8,640円(税込)
発行:赤々舎 tel. 03-6380-0908  http://www.akaaka.com

Event

◆ 特別試写「AKA ANA」(海外版/約60分)
ダガタが撮影した日本人女性7人のポートレート。日本では未発表。
水木金土 19:30-
19:00以降の入場は¥1,500(1drink付)

◆ トークイベント(会期中2回)
5/24 土 18:00 アントワーヌ・ダガタ(終了いたしました)
5/31 土 18:00 アントワーヌ・ダガタ&大塚咲(終了いたしました)

*トークの時間の前後に映像作品「AKA ANA」を上映します。
17:00 「AKA ANA」1回目(先着 30名)
18:00 トーク〈5/24 アントワーヌ・ダガタ〉〈5/31 アントワーヌ・ダガタ&大塚咲〉(先着80名)
19:30 「AKA ANA」2回目(先着 30名)
21:00 close

*入場料は17:00以降、¥1,500(1drink付)です。
「AKA ANA」を観るだけでも、トーク参加だけでも、「AKA ANA」を2回観てトークに参加しても、一律 ¥1,500 です。

*予約 電話 03-6427-8048 / メール ab@l-amusee.com
お名前・人数・希望時間・お電話番号をお知らせください。

6/5 木 19:00-21:00 「アントワーヌと arts drinks talk」
作家在廊。写真集をお買い上げの方は作家がサインします。
ダガタさんを囲んで、飲みながらお話ししましょう。
※「AKA ANA」の上映はありません。
¥500(1drink付)

6/26 木 アントワーヌ・ダガタ トーク・イベント
17:00~18:00 「AKA ANA」上映( 先着30名 定員となりましたので受付終了)
19:00~20:00 トーク (先着80名 予約受付中)
20:00~21:00 写真集販売・サイン会
※「AKA ANA」の上映時間が通常と変更になります。
¥1500(1drink付)

*入場料は17:00以降、¥1,500(1drink付)です。
「AKA ANA」上映からでも、トーク参加だけでも一律 ¥1,500 です。

*予約 電話 03-6427-8048 / メール ab@l-amusee.com
お名前・人数・希望時間・お電話番号をお知らせください。

Profile

フランス人、1961年マルセイユ生まれ。1983年にフランスを離れ、10年間を海外で過ごす。1990年、ニューヨークのICPにて写真を学ぶ。フランスへ帰国後は、1998年に初めての写真集 “Mala Noche” が出版されるまで、写真活動から離れている時期があった。ギャルリー・ヴュが作品を取り扱う時期を経て2004年マグナムに参画、同年、東川賞を受賞し、初めての短編フィルム “Le Ventre du Monde” を監督し、2006年に東京で撮影した長編作品 “AKA ANA” へと繋がった。2005年以来定住所をもたず、世界中で活動している。展覧会も各国で開かれており、2006年、東京都写真美術館にて “Vortex” 展が、2008年には東京のラットホールにて “Situations” 展が開催された。写真集も多数出版している。最新の展覧会に、2012年ハーグの写真美術館、2013年パリのル・バルにて開催された “Anticorps” がある。

When I first saw his photographs, I instinctively felt that their extraordinary power was not due to them being ‘done well’ or due to them being ‘cool’ but because of their visceral nature. ‘Why such hard hitting images?’ I ask myself. Slashed wrists, an emaciated prostitute from drug use, internal conflict in Libya and solitary confinement cell. All of them, almost unbearable to look at, but I am drawn to them. Those who live in a state of extreme alienation need to learn ways to live on their own, on a daily basis. Even when this means violence or drugs or prostitution. It is what living is about. No one will come to help. The lives of these people who are forced into darkness, shines. On the other side of the lens is d’Agata, living and despairing with them. At times, he hands over the camera and becomes the subject himself.
 
For him, photographs are nothing but about the fact that the photographer was there at that particular time.
 
During the times of French Connection in Marseille, he himself was hooked on drugs as a youth and has a past as a terrorist in an extreme left wing political organization. He almost died from drugs many times himself. Each time, the camera brought him back to the world. For him, photographs are neither work nor a product. It is a single lifeline lowered down into hell. A proof that he is still alive. They are a way of reporting on the presence of those who are impeded and are in the shadows of the prospering society. His world is certainly unique and there is no other photographer like him, either in Japan or anywhere in the world. I would like you to be shocked. I would like you to be questioned. He takes photographs with his gut. Art Brut (outsider art) with camera. An urgent expression, slapping our peace drenched cheeks.
 
In the evenings, AKA ANA, a documentary video shot by him will be shown for the first time in Japan at the venue. The work features portraits of seven Japanese women filmed by d’Agata, their words at times philosophical and profound.
 
During the exhibition period, d’Agata will be staying in Japan and will be giving talks, so I also urge you to hear what he has to say.

ーAtsuko Barouh